
フッ素樹脂は他の樹脂に比べて下記の様に優れた特性を多数有しています。
フッ素樹脂ホースの優れた特性
1.耐薬品性に優れています。
- アルカリ金属及びフッ素化学物質以外、殆どの物質に侵されません。
※17ページ 表1「使用できない流体一覧」及び表2「高温時に特に危険な流体」に示す流体には使用出来ません。必ずご確認ください。
2.純粋です。
- 安定剤や酸化防止剤等を含みませんので、流体を汚染したり、臭いや色を移しません。食品ライン、製薬ライン、浄化、純水装置などに最適です。
3.耐熱耐寒性に優れています。
- 約-50℃~約+200℃までの広い温度範囲でくり返し使用することが出来ます。(PTFE、PFAホースの場合)
4.非粘着性なので洗浄が簡単です。
- スケールの沈着がなく、剥離性に優れていますので粘着質がある流体用のホースとして最適で、洗浄が簡単に行えます。
5.耐候性に優れています。
- 耐候性に優れ、屋外で長期間使用しても酸化、表面汚染、変色及び紫外線による老化、劣化をほとんど受けません。
6.柔軟性に優れています。
- コルゲーション加工したプライアブルホースは曲げても折れにくく、連続して繰り返される曲げや振動にも安心して使用できます。
7.電気絶縁性に優れています。
- 絶縁材料として優れた特性を有しています。
8.難燃性に優れています。
- フッ素樹脂は優れた難燃材料で、自身が燃焼を続けることはありません。
9.低摩擦性に優れています。
- あらゆる樹脂の中で、最も小さい摩擦係数を示します。潤滑剤として使われる二硫化モリブデンと同等の値を示すと言われています。
10.安全性に優れています。
- 常温におけるフッ素樹脂は生理的に不活性で、人体に対し皮膚を刺激したり、過敏症になりません。また、一部の製品を除き、科学的に不活性で純粋ですので可塑剤、安定剤及び酸化防止剤などの添加剤を含みません。
透過性について
以下のような場合、フッ素樹脂ホースから内部流体が透過する危険性があります。
- 1.
- 分子が小さく、極性が大きいほど、フッ素重合体への浸透が早くなります。特に二酸化硫黄、塩化水素、塩素などの気体をご使用になる場合は注意が必要です。
- 2.
-
ガスの透過があります。温度、圧力、接触面積に比例して増加します。
透過が起きやすい環境ではそれを促す要因を減らし、透過物質を逃がすための排出口を作り、透過性の低い補強材を使うことが重要になります。
保温材等の被覆は透過物を濃縮させるおそれがありますので、ご注意ください。
※17ページ 表3.透過に注意する流体一覧を必ずご確認ください。
静電気の放電について
2つの異なった物質が接触した時、電子は1つの物質から他の物質へ引きつけられ結合しようとし、これら電子は接触した物質の接触面に沿って一列に並ぼうとします。接触した2つの物質がお互いに高い伝導性であれば陽極と陰極のバランスが保たれ静電気の帯電は起こりません。しかし、どちらかあるいは、お互いの物質が電気絶縁体であった場合、電気の流れが妨げられどちらかの表面に電気が蓄積され、その電気が物質の帯電強度を超えた時、放電が起き、帯電体の破壊(ホースの損傷)につながります。
フッ素樹脂は優れた絶縁材料のため、フッ素樹脂ホースに導電性に乏しい流体やガスを通した場合や、高圧力及び高流速で運転を行うとホース内面に静電気が帯電されます。
様々な流体のなかでも、燃料(ガソリン、ヒドラジン及びジェットJP-4等)、蒸気に使用する場合は特に注意が必要ですので、次の対策を講じてください。
- 1.
- ホースの内面にカーボンをコーティングしたタイプ HR型、BCV型等をご使用ください。
- 2.
- 流体速度を減少する。
- 3.
- 導電性が増加する物理的、化学的性質を満たす添加剤の採用をお薦めします。
- 4.
- 油圧油などは金属フィルターエレメントで濾過する作業工程を加えると効果的です。
※ご注意いただく流体表 / 4.静電気に注意する流体を必ずご確認ください。
ご注意いただく流体表
表1. 使用できない流体一覧
流体名 | 化学記号 |
カリウム | K |
ナトリウム | Na |
リチウム | Li |
フッ素 | F2 |
3 フッ化塩素 | ClF3 |
表2. 高温時に特に危険な流体
流体名 | 化学記号 |
アミン | R-NH2 |
アンモニア | NH3 |
イミン | R=NH |
塩化アルミニウム | AlCl3 |
ジボラン | B2H6 |
水酸化カリウム | KOH |
水酸化ナトリウム | NaOH |
表3. 透過に注意する流体一覧
流体名 | 化学記号 | 流体名 | 化学記号 | 流体名 | 化学記号 |
アセチレン | C2H2 | ブタン | C4H10 | クロロメタン | CH3Cl |
一酸化炭素 | CO | スルファン | H2S | メチルブチルケトン | C6H12O |
エチル塩化物 | C2H5 | ヘリウム | He | メチルブロマイド | CH3Br |
クロロエテン | C2H3Cl | アセトアルデヒド | CH3CHO | 酸素 | O2 |
塩素(乾) | Cl2 | エチルメルカプタン | C2H5SH | 蒸気 | H2O |
3 フッ化塩素 | ClF3 | 塩酸(ガス) | HCl | 窒素 | N2 |
水素ガス | H2 | 塩素 | Cl2 | 二酸化炭素 | CO2 |
炭化水素酸 | 三酸化硫黄 | SO3 | フロン/フレオン12 | CCl2F2 | |
天然ガス | ジエチルエーテル | C4H10O | フロン/フレオン22 | CHClF2 | |
二酸化硫黄 | SO2 | ベンゼン | C6H6 | プロパン | C3H8 |
表4. 静電気に注意する流体
デカリン | ラッカー溶剤 | ピネン | ジペンテン | ジペンテン |
ナフタリン | ガソリン | 蒸気 | ヘキサン | ヘキサン |
石油 | ヒドラジン | テレピン油 | 灯油 | 灯油 |
変圧器油 | ジアセトン | ナフサ | ジブチルエーテル | ジブチルエーテル |